彼氏キケン地帯



気づけば、大きな観覧車とジェットコースターが見えていた。



視界は尚しか映っていなくて、どうやってここに着いたかもわからない。


尚は受付で持っていたチケットを渡して、パーク内に入った。



当たりを見渡せば、主に緑と赤と白の飾り付けがされている。


季節に合わせて、クリスマスの雰囲気だ。


そういえば、今日って何日?!


携帯を見ると、ディスプレイには“12/25”と出ている。



(メ、メリクリやん!!)



尚との初デートに浮かれていたせいか、一年の(あたしにとっての)ビッグイベントのひとつを忘れていた。



「なに百面相してんの。」


なんて笑う尚の姿が、いつもの倍眩しいのはなんでだ?!



そう思って、尚の姿を改めてまじまじと見てしまった。



シックなデザインの暖かそうなシャツの上に、茶色のふさふさに縁取られたフード付きの黒のダウンジャケット。


程よい位置で履かれた、デニムのGパンとスニーカーが似合う。


胸元に光る、シルバーネックレス。


(それって、軽くおそろ!?)


普段と違う、耳元に光るリング型ピアス。


髪型も、心なしかいつもよりワックスで遊ばせている。



「尚きゅん…」


「は…」



尚の困った視線に気づかず、定番のクリスマスソングをBGMに、相川ワールドへと入っていってしまった。




(どしたの、こいつ…ι)

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