勝利の女神になりたいのッ!番外編
「よく諦めずに生きて帰ってきた。春牙もお前のその姿を見たらうかばれるだろう。」
「春牙をどうして助けてくれなかったの?知っていたのならどうして力になってくれなかったの?」
「俺は春牙に手を貸すといった、だが春牙が断ったのだ。自分の大切のものは最後まで、自分の命を懸けてでも守り抜くと、そう言ってその日から俺を遠ざけた。」
「春牙....。」
「あの日、春牙から聞いていた方角に火が上がるのを見たんだ。お前の住んでいた家なのだろう?あれは春牙からの合図だと思う。
お前に危険が迫っていると...。だから俺は山の中を彷徨った。
はっきりとした場所を聞いていたわけではないからその煙と火を頼りにしてお前達の住む里を探したんだ。」
「里は普通の人が踏み込める場所にはないわ。それが忍の里のあり方だから。」
それでも左近様は里に行くことができたのだ、普通の人じゃない。
「だから、間に合わなかった。春牙を助けることは出来なかったんだ。でもお前は見つけた。クナイを胸に抱いて倒れているお前はわずかだが息をしていたのだ。」
里をおりる途中で力尽きた私を助けてくれたのは左近様。
「昨日行ってきたよ。春牙のところへ...。」
「.....。」
「お前の話を妻から聞いて洞窟を探してきた。」
「.....。」
「春牙の亡骸は洞窟の奥に丁重に葬ってきた。思い出の深い洞窟なのだろう?妻がそう言っていたから場所は移さなかったんだ。」