勝利の女神になりたいのッ!番外編
「朱里ちゃんがよかったら主人の身の回りの世話をしてもらえないかしら?」
何も話さなくなった左近様と私の間に入ってきたのは奥方様だった。
それにしても病気の奥方様のお世話をするのではなく左近様のお世話?
首を傾げる私に奥方様は話の続きを聞かせてくれた。
水口の城主、石田三成様に仕えている左近様。
その左近様のお側に体の弱い奥方様は着いて行くことができない。
だから私が左近様のお世話を?
「俺は一人でも何も不自由していない。それよりもお前の話し相手にどうかと思っていたのだ。」
「いいえ、一人では何かと不便です。病気の時などどうするのですか?」
「病気になんぞ罹りはしない。」
「そんなことはありません。いくら鬼と呼ばれてもあなた様は人間でございましょう?」
「お前こそ一人でふせっていては退屈であろう..。」
「退屈だと思ったことは一度もありません、それよりも..朱里ちゃん、左近様がフラフラと華を渡り歩くという噂があるのです。それを見張ってくださいな。」
「お前..なにを...。」
お二人の話し合い?は奥方様に分があったようで左近様はそれ以上何も言えなくなった。
そして早々にお部屋から出て行ってしまった。