勝利の女神になりたいのッ!番外編
「それならよっぽどの事がない限り大丈夫かもしれない。」
ずっと黙っていた朱里が口を開いた。
「今、紫衣はアタシと一緒に左近様の膳を運ぶようにしてるんだ。
正澄様に逢わないようにしなくちゃいけないんだ。」
言い終わった後両手で口を覆う朱里。
「その理由は?」
朱里の言葉に間髪入れずに左近様の厳しい声が飛んだ。
「それは…その…」
しどろもどろの朱里を睨みつける左近様。
朱里はそんな左近様の迫力に押され、観念したように話し出した。
正澄様からのお誘いに知らぬ間に承諾してしまったということか...。
それは...。
良くない。
というよりソイツ馬鹿じゃないのか?
「紫衣が悪いんじゃないんだ。アタシが紫衣にちゃんと教えてなかったんだ。男女のことは、まだ紫衣には早いと勝手に思ってたんだ。」
朱里は、ついこないだまで幼子だったんだよと言い訳めいた言葉を吐き出し、同時に大きなため息も吐き出した。