勝利の女神になりたいのッ!番外編
「佐和、歴史はな、色々なところで繋がっているんだぞ。
そして大切なものも教えてくれる。
何百年も何千年も昔の人が血を流し涙を流し生きてきてくれたから、今のこの世界があるんだ。」
そんなこと知らない。
知りたくもない。
俺には関係ないだろ!!
「だけど...そうだとしても壊れていくよ。この世界は壊されるんだ。」
返事なんかするつもりじゃなかった。
いつもの父さんの夢物語。
歴史の話をすると父さんはいつも嬉しそうに頬を染めて話すんだ。
その話はあたたかい。
だから聞きたくなかった。
歴史なんて殺し合いじゃないか。
人が人を殺してその血の上に立つものが権力を握る。
それを繰り返したきたんじゃないのか?
「壊れたりなんかしない。人が愛を知る限り壊れることはないんだよ。」
「でも父さんの立つこの地も壊されたんだ。現に今はその原形を留めていないじゃないか。」
父さんの好きな佐和山。
昔、この地は戦乱の世に崩れ去った。
関が原の合戦で敗れた石田三成の居城。
敗戦後、勝った徳川方の攻撃を受けて落城した。
城の主三成も家康の命により斬首の刑に処せられた。
栄華を誇っていても負ければ全て失う、それは昔も今も同じなんだ。