勝利の女神になりたいのッ!番外編
「具合はどうだ?」
夜になると三成が帰宅する。
毎日ではないけれど、彼は屋敷に深夜になろうと帰ってきてくれる。
忙しい彼は、深夜に屋敷に戻り、早朝出掛ける事も度々あって、
「あなたが倒れないか心配です。」
私を気にかけて屋敷に戻ってくれることをわかっていても素直に喜べなかった。
「今日は粥を少し食べたんですよ。」
三成を安心させたくて、喜んでもらいたい一心で食べた粥。
今日はいつもよりスルリと胃が受け付けてくれた。
「そうか。」
言葉は少ないけど彼の表情が安心したように柔らかくなり、私も嬉しくなった。
妊娠は病気ではない。
頭ではわかっているけど部屋から出られない日々を送ると心が病気になっちゃいそうで、
「今日は絶対にお見送りをさせて下さいね。」
三成が出掛ける早朝、私は妊娠してから初めての我儘を口にした。