勝利の女神になりたいのッ!番外編


「今日は紅葉は屋敷に残れ。」


だからかな?


朱理さんと一緒に門まで三成を見送るために出てきた私を見て、三成は言ったんだ。


「紅葉がいなくても殿はお困りにはならないんだよ。」


なんせ、優秀な桔梗という男が側に控えているんだからなって鼻を鳴らしながら話す桔梗さん。


「うるさいよ。桔梗!」

紅葉さんも悔しそうに顔を歪めながら桔梗さんに言葉を返す。


「ふふ…。」


なんだかすごく久しぶりに二人の会話を聞いて懐かしさについつい笑ってしまった。


暇を見つけてはほんの数分だけでも部屋を尋ねてくれていた二人だけど、話はほとんど出来なかったし、


「笑うな!阿呆紫衣。」

こんな風に悪態をつかれるのも、嬉しく感じる。

「阿呆って言わないで!意地悪馬鹿紅葉!」


だから私もいつもの調子で紅葉さんに言葉を返す。


胸のムカムカが一気に吹っ飛んだように清々しい気分だった。







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