勝利の女神になりたいのッ!番外編
人垣を割って進んでいく私と芽衣ちゃん。
「ちゃんと順番守りなさいよ!」
「ちょ…横入りしないで!」
人の波をかき分け進む私達には不満の声があちらこちらから掛けられて、それでも進むことをやめない芽衣ちゃんに引きずらながら私も足を進めた。
「おぅ、こっちこっち」
聞き慣れた声を耳にして視線を向けると、カフェの一番奥のテーブルについて大きく手を振る嶋田さんがいて、嶋田さんの向かいの席には佐和さんの後ろ姿が見えた。
「ハァー…やっぱり…」
さっきからため息ばかりの芽衣ちゃんは
「許さないんだから!」
最後には何だか怒ってる様子で言葉を吐き出してずんずんとまた足を進めた。
何が何だかさっぱり状況をつかめない私は、ここに来るときとは違って自分で芽衣ちゃんに着いて歩いた。
「嶋田さんのバカっ!」
彼らが座る席に近付くと芽衣ちゃんは嶋田さんに言葉を投げつけてくるりと踵を返して店の入り口に向かって走り出す。
「芽衣ちゃん!」
どうしたの?
どうしちゃったの?
益々状況がつかめなくて混乱しながらも私は芽衣ちゃんを追いかけようとして、
「紫衣はこっち」
肩に触れた手と大好きな佐和さんの声に引きとめられた。
その瞬間
「キャーッッ!」
女の子の黄色い悲鳴がカフェないに響き渡り、
「うるせぇー…」
小さく呟いた佐和さんの胸の中にポスンと背中があたり、抱き締められた。