勝利の女神になりたいのッ!番外編
「放して...」
彼の胸を叩きながら叫んだ私の耳元で囁く嶋田さんの声。
「話を聞いてくれ」
彼の珍しく弱々しい声に抵抗するのをやめて大人しく彼の腕の中におさまった。
このままじゃいけないってちょっぴり冷静になれたんだ。
「チョコは返すつもりだった。あれは石野の計画を聞いてアイツを引きたてるためにテーブルに置かれていくチョコを見て見ぬふりしていたんだ。俺は直接受け取っていないよ」
「.........」
「芽衣も知ってるんだろう?石野はみんなの前で紫衣ちゃんのチョコしか受け取らないって宣言するって計画」
「うん...」
「だから俺がアイツを引きたててやろうって思ったんだ」
「.......」
「計画通り進んだら俺も石野と一緒って宣言してチョコは引き取って貰おうって思ってたんだ。芽衣からしか受け取らない。俺だって芽衣のチョコしかいらない」
「うそ...」
「本当、信じられないのか?俺のこと」
「だって...」
「まぁ、普段の俺を見てたらそう思われても仕方ないかもな。けど、芽衣と付き合って急に愛想が悪くなったら悪くいわれるのは芽衣だろう?それが嫌だったんだ。芽衣だけでいい...」
抱きしめられたまま胸に埋めていた顔をあげて彼を見つめると、とても優しい瞳と視線がぶつかった。
照れているのかほんのり赤く染まった彼の顔。
照れてる顔なんてとても貴重かも...。
「ダメ!そんな顔しちゃダメ!!」
誰にも見せたくないよ。
私だけが知っていればいい、そんな彼の表情を公衆の面前にさらすなんてイヤッ!!