勝利の女神になりたいのッ!番外編
紫衣の意識が戻った次の日、私は石田と一緒に病院に行くことにした。
ずっと紫衣に話したいことがあるといっていた石田。
私は今まで一方的で、石田の話しを聞こうとしなかったんだ。
石田の口から紫衣は聞かなければならないことがある。
石田の考えを紫衣は聞かなきゃならないんだよね。
それが紫衣の為でもあるんだよね?
つらい話でも、嬉しい話でも紫衣は知らなきゃいけないんだ。
「紫衣と二人にしてもらっていいですか?」
病室についてすぐに石田は紫衣と二人になりたいと言ったんだ。
一瞬戸惑いを見せたおばさん。
でもおばさんは石田の言うとおりにしたんだ。
病院の中庭で缶コーヒーを飲みながらベンチに座るおばさんと私。
心配だけど、私たちは二人の話に立ち入ることは出来ない。
「だけど石田君ってとってもハンサムね。」
「おばさん、ハンサムって今時誰も使わないよ。」
「あら、そうなの?」
「でも確かに石田は整った顔してる。可愛い紫衣と二人で並んでいるととってもお似合いだったんですよ。」
「フフ..これは孫の顔が楽しみだわ。」
「おばさん、それはちょっと気が早いんじゃないですか?」
「そうね。」
どうでもいい会話。
私とおばさんは笑い合った。
本当は今すぐ病室に飛んで行きたい。
だけどそれは許されない。
だから、どうでもいいことを話して笑うしかないんだ。