勝利の女神になりたいのッ!番外編
「失礼します。」
可愛い声の女。
兄上は嬉しそうな顔をして俺に耳打ちをしてきた。
「久しく現れなかったが今日来るとはのう...調度いい。」
頬を染めて少年のような兄上が入れと言葉を返すと襖が開いた。
俯いて顔が良く見えないが若い女だということはわかった。
透き通るような白い肌、儚く消えてしまいそうな女だった。
強くシッカリしたゆきとは正反対だ。
兄上が惹かれるのもわかる気がした。
男なら誰でも彼女を見ると守ってやりたいと思うだろう。
でも兄上の相手となれば話は別だ。
「久しいのう、体調は良くなったのか?」
「あの...。」
嬉しそうに兄上のかける言葉に女は遠慮気味に言葉を返そうとしたのを俺は遮った。
「この娘ですか?兄上。」
女を睨みつけるようにして言葉を発したのだ。
「あの...申し訳ありません。私...」
「良い返事しか聞かぬぞ。」
意を決したように顔を上げて話し出す娘に兄上は遮るように言葉を掛けていた。
娘の様子からするともしや困っているのかもしれない。
そう思ったんだ。
だからあえて俺は反対するような言葉を口にした。