そばにいれたなら
目の前にレイさんが、いる。
あたし、押し倒されてる……?
レイさんの目から視線をそらそうと
思うのにそらせないあたしがいる。
「レイさん…?」
「お前さ、無防備過ぎるよ」
あたしが見てたレイさんじゃない。
あたしを助けてくれたレイさんじゃ、ない。
両手をレイさんの手で押さえられてる
から身動きがとれないし。
レイさんの目は冷たい。
どんどんレイさんの顔が近づいてくる。
鼻があたるかあたらないくらい
近くなったとこでレイさんは止まった。
「俺さ、勘当されたんだよね」
「え?」
顔が近いままレイさんは話し出す。
「小さい頃に両親事故で死んで、叔父んとこに引き取られてさ」