そばにいれたなら
あたしは――…レイさんに―……
あげられるものがあるのかな…?
高校生のあたしがレイさんに。
「あげられるものなんて……ないよ。」
「……え?」
レイさんの瞳がかすかに見開いた
のをあたしは見逃さなかった。
だって思い付かない。
レイさんにあげられるもの。
「あたしはレイさんに嘘も温もりもあげられない。」
嘘も温もりも
レイさんが欲しいものとは思えないから。
「あたしはあなたにありのままの自分しか見せることしかできない。」
自分を偽ることはこんな無知で
幼いあたしにはできっこない。
気づいたら自分の思ってること
口にしてるんだから。
だからレイさんを見てたのも衝動的。
理由なんてないんだから。