そばにいれたなら
「んー。」
なんでもないような返事をして
靴をはくマキをじっと見据えた。
マキにはマキの居場所があって
俺には俺の居場所がある。
でもマキがいてくれるこの家も
俺の居場所。
俺の帰るべき場所。
今は、今だけは
マキは俺のもの?
俺の話だけを聞いてくれるでしょ。
この薄っぺらいドアを越えただけで
マキは自分の居場所に帰って行く。
ねぇ、こんな寂しがり屋の俺は
今までどうやって生きてきたの?
「あ、下まで送るわ」
「本当?ありがと」
玄関を2人で出てエレベーターのボタンを押して待つ間俺はマキの姿を目に焼き付ける。
変態?しょうがないでしょう。
俺は今マキと話をするために生きてるんだから。