モノクローム
黒の君
あたしは朝から苛々していた。
寝坊した上に、さっきから髪が上手く巻けない…
慌てて塗ったマスカラは瞼にくっつくし。
(いやん!電車間に合わないかも…)
携帯の時計を確認した時だった。
♪〜♪〜♪
《着信 弥生》
変えたばかりの新しいメロディに、少しだけ違和感を覚える。
(あ〜ん、忙しいのに!弥生ったら!)
益々イラツキながら電話に出る。
「京奈?ごめん!
2時限には行くから、代返頼むぅ〜!」
(またか……)
「昨日誠とラブホお泊まりしちゃって〜
着替えもってないから〜」
そんなことは何だっていい…
あたしは
「あ〜もぅ、わかった!
あたしも乗り遅れそうだから、切るよ!」
乱暴に言うと電話を切った。
(うわっ!やばっ!もう行かなきゃ!)
あたしは慌てて鞄を手に、部屋を後にした。