モノクローム
「いーや、可愛いゲストなら大歓迎だよ!」
「お前、ホントに調子いいよな?」
零はその人に言うと、今度はあたしに
「こいつ、ドラムのアキだよ」
と教えてくれた。
「はじめまして。あたしは京奈です。
えっ…とぉ…京都の京に…」
「奈良の奈…だよね?」
横から零が口を挟んだ。
「アハハ!ウケるね、それ本当なの?」
アキがゲラゲラ笑い出す。
「そうなんですよぉ!あたし、ハネムーンベビーだったらしくって、それで親が……」
あたしが夢中になって喋る横で
零は下を向いて拳を口に軽く当てながら、ククッと笑っていた。
「なんか、面白い子だねー!京奈ちゃんて…
零にしては珍しいな」
アキの一言にあたしはハッとして口を閉じた。
(零にしては…?
そっか…やっぱタイプじゃないんだ…よね…)
「そんなんじゃないよ」
零の声を遠くにぼんやり聞いた。