なんでやねん。
場所は変わって、教室。
そして雰囲気も変わって、かなり深刻な空気。
授業の時から出しっぱなしやった筆箱からシャープペンシルを出して、いざ、問題をやってた。
「…」
「…」
「…」
「…」
それからずっと、沈黙。沈黙。沈黙。
「…」
「…」
「…なあ、ヒロキ」
「…なんや」
「わかる?」
「無理」
「私も無理」
5分間。見つめました。yやらxやら記号やら数字やらが並んだ暗号用紙を。5分間。
わからなさすぎる焦りから額を汗で滲ませ、それでも見つめた。
それでも、わからなかった。1問も。
ヒロキも全く一緒。
こいつも小学校はずっとサッカーやっとって、中学ではどういう心境の変化か知らんけどバスケ部に入って。
でもそれなりに3年間バスケ一筋って感じやったから、勉強は全くできひん。
いわゆるヒロキも私と同じ、アホってところや。