なんでやねん。
「…ハァー…このボケ本間」
「ぼ、ボケってなによ」
「…口」
「へ?…くち?」
「口。何かしてるやろ」
「えっ…」
まさか。嘘やん。
気づいてくれた。
爆睡かます前の授業中に何となく塗ってみた、カエちゃんから貰った苺のリップグロス。
気づかんと思ってたのに。普通に気づいてくれた。
「…なんやねん」
「へ」
「何で黙ってんねん。してへんの?」
「あっ…、し、してるしてるっ!」
「…やっぱり」
一瞬、なんやねんって言いながら振り返った時のヒロキの顔が、真っ赤っかやった。
耳まで真っ赤で、それでも睨んできてたヒロキがどうしようもなく可愛い。
なんやのコイツ。なんか知らんけど、今日めっちゃ可愛いやん!