なんでやねん。
「よ、よくわかりましたね」
「…そりゃね」
「今日は調子ええんですか?」
「…まーね」
「ヒロキくんも塗りますか?リップ」
「喜ん…ってなんでやねん」
机に俯せたまま私の言葉にも突っ込んできてくれる。
それだけで、十分嬉しい。
「なあ、かわいー?」
「は?」
「リップ塗った方がかわいー?」
「アホ。調子に乗んな」
「へへー。すんませーん」
「…」
なんか…上機嫌やわ、私。
鼻歌なんか歌ってるし。プリントにはわからんクセに適当な記号ばっか書いてるし。
何より、恋する乙女は今メルヘンやわ!メルヘンな気分やわっ!
「…かわええんちゃう」
「…~♪」
「聞いてへんのかい」
「へ?んー?なにー?」
「へ?んー?べつにー?」
「ははっ、何よそれー」
ヒロキの笑顔を見て、一つ。
あんたを好きでよかった、と。