希望
小学校

父親のアル中

由衣は、小学校1年だった
。家族は、父、母、5つ離れた兄の4人家族。

『ただいま、、、』

帰っても、誰もいない。
由衣はランドセルを玄関に置き、家には入らずに外へ出た。

帰っても、誰もいない。
静かなこの家は、由衣は嫌いだった。広い空間にひとりぼっちが怖かった。

夜になり、家族みんなで夕飯をかこむ。

ご飯は必ず父から食べる。それが家の決まり。
テレビを見ながら楽しい夕飯。


数時間後・・・

父の怒鳴り声が由衣たちを震わせる。

『なんだ、この飯は!?こんなまずいもん、喰えるか!!』

料理が皿ごと母に投げつけられる。

すでに床にはビール瓶がつららのようにある。

20本はあるだろう。

そうなると、決まって母は、兄に由衣を連れて2階へ上がるようささやく。

小声だが、しっかりと、強い口調だった。

そこからは、なにが起きているのかは分からない。

食器の割れる音、怒鳴り声……

大体の予想はついた。

由衣は兄に寄り添った。何も話さず、必要以上動かず……。

夜中、由衣が目を覚ましトイレへと階段を降りる。


『……………』


声が聞こえる。

『……………』

母の、すすり泣く声。


真っ暗い部屋の中で、祖母と電話をしていた。


由衣に気づくと、いつもの母に戻った。


きっと、この時、母は離婚を決意したのだろう。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop