龍と虎に愛されて。
第一章
ガリ勉男の豹変―明菜サイド―
―――明菜サイド―――
「早坂先輩、カッコいいなぁ……」
ポツリと呟きながら、窓の外を眺める。
校門に向かって、数人の友達と歩く早坂先輩を目で追う。
髪を茶色く染めて、校内でも目立つ存在の早坂先輩。
彼氏にするならやっぱり、真面目な男の子より少し道から外れた男の子のほうがいい。
見た目ですべてを決めるのはよくないけど、整っていないよりは整っているほうがいい。
友達に自慢できるなら、もっといい。
一番苦手なタイプ。
それは、今あたしの目の前にいるこの男……。
「あの、日誌書いておいてもらえましたか?」
「あぁ〜ごめんごめん。書いてない」
「日誌くらい、書いてもらえませんか?」
「あたしね、今、忙しいの。小林、どうせ暇でしょ?」
「……僕も暇じゃないんですけど」
目の前のガリ勉男を無視して、あたしは再び窓の外に視線を移した。
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