龍と虎に愛されて。
茶色い瞳があたしを捕らえて離さない。
頭の中がぼんやりして、息が止まりそうになる。
あたしのことがもっと知りたいって、どういうことなの?
『天然美少年』っていうあだ名までつけられる杉崎君のことだから、その言葉に意味はないのかもしれない。
「考えておいてね」
杉崎君はニコリと笑いながらそう言うと、あたしの頭をポンポンッと叩いた。
「……さっきのは、なんだったんだろう」
頬に手を当てると、杉崎君の手のひらのひんやりとした感覚がいまだに残っていて。
あたしは呆然とその場に立ち尽くしながら、杉崎君の後姿を見送った。