龍と虎に愛されて。
「……ちょっと!明菜!!どこいくの!?」
教室に着くと、あたしは机の横に掛けておいたカバンを掴んだ。
今すぐ追いかければ、まだ間に合うかもしれない。
小林はまだ学校の近くにいるかもしれない。
あたしは学校を早退して、小林を探すことにした。
「ごめん、瑞穂!!また連絡するから!!」
後でちゃんと、説明するから。
あたしはそれだけ言うと、教室を飛び出した。
でも、勢いで学校を飛び出してみたものの、行く当てがない。
こないだも無断早退したし、明日学校に行ったら担任に怒られるだろう。
もしかしたら、あたしも何らかの処分を受けることになるかも。
それでも……いいや。
小林だけ悪者になんてできるはずない。
小林はあたしを助けてくれた恩人なんだ。
「……こないだの公園……」
学校からさほど距離も遠くないし、小林はそににいるかもしれない。
とにかく、動き出さなければ何も始まらない。
あたしは直感に任せて、勢いよく走り出した。