龍と虎に愛されて。
「えっ……」
扉の前で不思議そうな表情をしている男の子。
それが龍心であると気付いたのに、あまりの驚きで、声が出せない。
「一人で何やってんの?」
「な、なんで龍心が学校にいるの……?」
職員会議で正式な処分が下るまで、自宅謹慎しているはずだったのに。
あたしが口を開けてポカーンとその場に立ち尽くしていると、龍心はフッと僅かな笑みを浮かべた。
「荷物取りに来ただけ」
「荷物って……何の?」
「教科書とか」
教科書……?どうして、教科書を取りに来たの?
やっぱり龍心は……退学になっちゃうの?
だから荷物を取りに学校まで来たの?
一気に不安が込み上げて、目頭が熱くなる。
胸が痛いくらいに締め付けられて、唇が震える。