龍と虎に愛されて。

「謹慎中の課題出されたから」


「課題……」


そっか。課題をやるために、教科書を取りにきたんだね。


退学になったわけじゃ……ないんだ。


「……――おい!大丈夫か?」


ホッとしてヘナヘナとその場に座り込むあたしの腕を、龍心がギュッと掴む。



「よかったぁ……。退学にならなくてホントよかったよぉ……」


「バーカ、泣くなって」


「また一緒に授業受けたりできるんだよね?」


「当たり前だろ」


安心した途端、目から大粒の涙が頬を伝った。


「泣き虫女」


龍心はそんなあたしを温かい眼差しで見つめて、溢れた涙を人差し指で拭ってくれる。


龍心の優しさが胸に温かく染み渡る。


それと同時に、龍心への想いが募っていく。




< 132 / 478 >

この作品をシェア

pagetop