龍と虎に愛されて。
『佐和さんのこともっと知りたいな』
そんなことを言われたら、大半の女の子は期待しちゃうはず。
どうして、杉崎君はあんなことを言ったんだろう。
あたしは振り返ると、ハッとした。
そこに立っていたのが、『天然美少年』というあだ名をつけられている杉崎君とは到底思えなかったから。
「……えっ?」
能面のように冷めた表情を浮かべて立っている杉崎君。
困惑しているあたしに気付いた杉崎君は、わずかに口元を緩ませた。
だけど、目の奥は笑っていない気がして。
ほんの一瞬感じた恐怖。
あたしは慌てて杉崎君から目を反らして、龍心の腰に腕を回した。