龍と虎に愛されて。
「……――おい。起きろ!着いたぞ」
激しく肩を揺すられて目を覚ます。
目を開けると、龍心の整った顔がぼんやりと映し出された。
「あれ……?瑞穂は?」
さっきまで隣で寝ていたはずの瑞穂の姿がない。
「先に行った。ほら、早く立て」
「ちょっと待ってよ!」
目覚めてすぐ動けないよ……。
龍心はそう言うなりあたしを待たずにバスから降りていく。
待っててくれないんだ……。
少し不機嫌になりながら足元に視線を移した。
「……もう。変なところ優しいんだから」
さっきまで足元に置かれていた荷物がない。
きっと龍心が持っていってくれたんだろう。
「龍心!ちょっと、待ってよ!!」
あたしは急いで立ち上がると、龍心の後を追いバスを降りた。