龍と虎に愛されて。
頬を膨らませて怒りを露わにすると、龍心は一度ハァと息を吐いた。
それはまるで、自分の感情をコントロールしているかのように見えた。
腰を屈めて杉崎君に聞こえないようにボソッとあたしの耳元で囁く龍心。
その声は、さっきとは違ってとても優しかった。
「喘息の発作起こらないように気をつけろよ」
「……龍心……」
バカ女と言われ頭にきていたのに、さっきまでの怒りはすぐさま吹き飛んだ。
「じゃあな」
龍心はそう言うとあたしの頭をポンポンと叩き、他のクラスメイト達の後についていった。