龍と虎に愛されて。

「……しんどいなぁ」


登り始めてから早20分。


未だに頂上は見えてこない。


「頂上はまだ先だし、マイペースに頑張ろうね?」


「……そうだね」


運動不足の足がガクガクと震えだす。


でもどんなに弱音を吐いても、結局は頂上を目指さないといけない。


山の中腹で途中棄権は出来ない。


ポケットの中に入れておいた飴。


龍心からもらった飴をギュッと握り締めると、ほんの少しだけ力が湧いてきて。


あたしは杉崎君に励まされながら、必死に頂上を目指した。
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