龍と虎に愛されて。
「杉崎君、一緒にお弁当食べない?」
「うん。いいよ」
ニコッと優しい笑顔で、周りを取り囲む女達に愛想を振りまく大虎に虫唾が走る。
『この女喰えそうだな』
優しい瞳の奥で、すぐに喰えそうな女を見定めているに違いない。
「杉崎君のお弁当すごい可愛い!お母さんが作ったの?」
「……あ、うん。まぁね」
「タコさんウインナーも入ってる!」
高校生にもなってタコさんウインナーなんて入れる親がいるかよ。
それを女に見られて平然としてられる男がいるか。
あいつの周りで目をハートマークにしている女も女だ。
普通、マザコンだと思ってひくだろ?
信じられない。
奴らから目を反らして、パンを口いっぱいに頬張る。