龍と虎に愛されて。
「小林君、ちょっといい?」
振り返ると、そこには目を細めてニコッと眩しいほどの笑みを浮かべる大虎が立っていた。
「普段通り話せよ。ここなら誰にも気付かれねぇよ」
「……だね」
一度辺りを見渡すと、大虎は俺の隣の大きな石に腰掛けた。
「で、何の用だよ?」
「あ~、別に用はないんだけどさ。周りの女の子達がウザくて、落ち着いてリカちゃんの弁当食えないんだ」
「リカちゃんって誰?お前の女?」
「違うよ。こないだ出会った可愛い女の子」
やっぱりな。
大虎が母親に作ってもらった弁当を持ってくるようなキャラではないと、薄々気付いていた。