龍と虎に愛されて。
表の顔、裏の顔―明菜サイド―
―――明菜サイド―――
「……――明菜?ねぇ、明菜ってば!!」
「……えっ!ごめん、何か言った?」
山を下りてバスに揺られて宿泊先を目指している途中、瑞穂があたしの顔を不思議そうに覗き込んだ。
「どうしたの?さっきから変だよ?」
「……そ、そうかな?全然普通だよ!!」
って答えてみたけど、普通じゃないのが自分でもよく分かる。
それは瑞穂にも伝わっているみたい。
「……そっか。何かあったら言ってね?」
でも、瑞穂はあたしを気遣ってか、それ以上追及してこなかった。