龍と虎に愛されて。
「ごちそうさまでした……」
自由時間を終えて、お世辞にも美味しいとは言えない夕食を済ませた頃、辺りは真っ暗になっていた。
「ねぇねぇ、肝試し楽しみじゃない?」
周りの生徒達は、これから始まる肝試しに胸を躍らせているみたい。
やっぱり龍心をお化け係に推薦するんじゃなかった。
ペアの杉崎君には申し訳ないけど、彼じゃちょっぴり頼りない。
臆病そうな杉崎君が恐怖に負けてあたしを置いて逃げないとも限らないし。
天然って言われてる杉崎君。
肝試しが始まったらあたしとペアであることすら忘れちゃうかも。
って、それはないか……?
だけど、悪い想像をすればするほどに、表情が険しくなる。