龍と虎に愛されて。
「それくらいじゃ謹慎にならねぇよ」
「そっか……。じゃあ、何かあったら助けてね?」
肝試しで何かがあるはずないけど、一応念には念を。
龍心の顔を覗き込みながらそうお願いすると、龍心は何故か表情を固くした。
「あぁ。俺が助けにいってやるよ。ただ……――」
「ただ、何?」
「杉崎には頼るな。分かったな?」
やっぱり龍心も杉崎君は頼りないと思ってるのかな?
「うん。分かった!」
龍心が近くにいてくれるなら安心だ。
早く肝試しを済ませてしまおう。
龍心に会えたことで、ほんの少し恐怖心が薄れた。
「じゃあ、また後でな」
「うん!」
あたしは龍心と別れて、清々しい気持ちでペアである杉崎君を探した。