龍と虎に愛されて。

「……――ギャァァ!!」


その途端、佐和が人間のものとは思えない悲鳴を上げて、ズルズルと後ずさりを始めた。


薄らと目に涙を浮かべ、口をパクパクと動かして、声が出せないほど驚いている。
 

クソッ。予定が狂った。


「そんな驚くんじゃねぇよ。これ、ヅラだから」


ペチャンと潰れた金色の髪を手で軽く整えて伊達メガネを外すと、俺はテーブルの上の気持ち悪い物体を佐和にブン投げた。

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