龍と虎に愛されて。
「こんなところで、何してるの?」
突然ポンポンっと肩を叩かれた。
「……――誰!?」
顔を引きつらせながら振り返ると、そこにはわずかな笑みを浮かべてあたしを見下ろす杉崎君が立っていた。
「そんなに驚かないでよ」
「……何で杉崎君がここにいるの?」
杉崎君の存在に思わず体を硬直させて身構える。
「それはこっちの台詞。俺はトイレに行こうとしただけ」
「あ……そっか」
この階のトイレも、部屋に備え付けられてないんだね。
なんとなく気まずくなって、ポリポリと頭をかく。