龍と虎に愛されて。
「龍心に会いに来たの?」
「……うん」
「へぇ。明菜ちゃんって結構積極的なんだ?」
「そんなことな……――!!!」
そう言い掛けると、杉崎君は突然、あたしの唇を手で塞いだ。
「……シッ。足音聞こえない?」
辺りを見渡しながら小声でそう言う杉崎君に、頭を左右に振る。
足音なんて……何も聞こえない。
「……いや、間違いなく誰か来る。ちょっと来て」
そう言うと杉崎君はあたしの手を引っ張った。