龍と虎に愛されて。

「龍心に会いに来たの?」


「……うん」


「へぇ。明菜ちゃんって結構積極的なんだ?」


「そんなことな……――!!!」


そう言い掛けると、杉崎君は突然、あたしの唇を手で塞いだ。


「……シッ。足音聞こえない?」


辺りを見渡しながら小声でそう言う杉崎君に、頭を左右に振る。


足音なんて……何も聞こえない。


「……いや、間違いなく誰か来る。ちょっと来て」


そう言うと杉崎君はあたしの手を引っ張った。

< 229 / 478 >

この作品をシェア

pagetop