龍と虎に愛されて。
そんな中、俺は家から徒歩で通える範囲の高校に合格した。
小さな町の中での中学校同士の対立。
俺の顔を他校の不良達が覚えていないはずがない。
でも大多数の不良達は就職するか、隣町の不良の集まる高校に入学する。
駅前で絡まれ路地裏で喧嘩なんてもうまっぴらだ。
高校にまで奴らが喧嘩を売りにでも来たら、俺は停学かもしくは退学……。
だったら、高校の中ではヒッソリと誰にも気付かれずに暗いガリ勉男になろう。
もしストレスが溜まったら高校の外で晴らせばいい。
自分が苛々している時だけ喧嘩をして、うっぷんを晴らせるならそれで満足だ。
俺は入学式の前日、黒いカツラと最近ではあまり見かけなくなった底の厚い伊達メガネを購入した。