龍と虎に愛されて。
遠くなる距離―明菜サイド―
―――明菜サイド―――
「おかえりなさい!遠足はどうだった??お土産は?」
遠足を終えて家に帰ると、玄関先でママがあたしに手を差し出した。
「お土産なんて……買える時間なかったよ」
お土産を買う時間も……買う気にもならなかった。
「……どうしたの?なんか元気ないわね?」
「別に……」
今は遠足の話をする気になれない。
「あたし疲れてるから、夜ご飯パス」
「えぇ~!今日は明菜の大好きなカレーライスにしたのに……」
「ごめん、明日食べるから」
明らかに残念そうな表情を浮かべるママを無視して、あたしは階段を駆け上がった。