龍と虎に愛されて。

「家庭教師のことは分かったよ……。じゃあ、今日学校休んだのはどうして?」


「寝坊してかったるかったから、サボっただけ」


それは本当だ。


目が覚めた時には既に時計の針は10時を回っていた。



「……嘘……つかないでよ」


すると、明菜は蚊の鳴くような声でボソッと呟いた。


「嘘じゃねぇよ。寝坊したんだって」


「……どうしてそんな嘘つくの……?あたしのこと嫌いになったんでしょ?そうならちゃんと言ってよ!!」


違う。明菜を嫌いになったんじゃない。


「嫌いになったなんて言ってねぇだろ?なに勘違いしてんだよ」


思いもよらない明菜の言葉に思わず口調が荒くなる。
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