龍と虎に愛されて。
素顔に触れて―明菜サイド―
―――明菜サイド―――
「ハァ……」
あの電話の後、あたしは一睡も出来ずに朝を迎えた。
龍心……、勝手に電話切っちゃうんだもんな。
それがきっと答えだろう。
振られたようなもの。
もう一度自分から掛けなおせばいいのに、そんな勇気も出なくて。
電話では強がって龍心を攻めたくせに、こういうとき、あたしは臆病で弱虫になる。
龍心に会うのも気が重くて、学校へ向かう足取りは重たい。
もし学校で顔を合わせたら、あたしはまた龍心を攻めてしまうかもしれない。
自分の気持ちを龍心にぶつけてしまいそうで。
何で距離を置きたいなんて言うの?
何で分かってくれないの?
そう言うことによって、龍心との溝がまた深くなってしまいそう。
落ちついて龍心と話し合いたかっただけなのに、結局昨日は興奮して最悪の方向へ話が向かった。