龍と虎に愛されて。
「……あ……」
あと一歩で学校に着くというところで、あたしはピタリとその場に立ち止まった。
道路の隅に一人の男の子が座り込んでいる。
その男の子が杉崎君であると気付いて、あたしはとっさに身構えた。
この人に関わるとろくなことにならない。
あたしが足早に横を通り過ぎようとした瞬間。
「あ……、明菜ちゃん!ちょうどよかった!ちょっと来て!!」
あたしの存在に気付いた杉崎君は、焦ったように手招きした。