龍と虎に愛されて。

きっと、この姿が本当の杉崎君なんだろう。


本当は心の優しい人。


だけど、周りの環境が杉崎君を変えてしまった。


自分とチビをダブらせている杉崎君に胸が痛む。



「ありがとう。楽しみにしてる」


「あ、ちょっと待って!」


歩き出そうとすると、杉崎君が突然あたしを呼び止めた。



「あのさ、龍心とはあの後仲直りした?」


「……うん、大丈夫。うまくいってるよ」


距離を置こうと言われたなんて杉崎君に言えない。


「そっか。俺も後々龍心に謝るから。二人の仲引っかきまわして……ホントにごめんな?」


「ううん。大丈夫。じゃあ、またね」


絶対に、大丈夫。


そう自分自身を納得させると、杉崎君に背中を向けて歩き出した。
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