龍と虎に愛されて。
玄関を開けて家の中に足を踏み入れた、俺は言葉を失った。
足の踏み場もないとはこのことだ。
辺りにはゴミが散乱し、何年も前の雑誌が玄関先に積まれている。
「こっち」
「あぁ……」
顔をしかめている俺に気付いたのか、大虎はすぐに自分の部屋に案内した。
「チビ、遅くなってごめんな」
大虎の部屋の中は殺風景だった。
廊下やキッチンは物で溢れ返っていたのに、この部屋だけはまるで違う。
部屋の中にあるのはテーブルと布団だけ。
大量の服は窓枠のカーテンレールにハンガーで吊るされていた。