龍と虎に愛されて。

ったく。


明菜のせいで、変な女に絡まれたじゃねぇーか。


我慢の限界に達して、明菜に文句の電話を入れようと携帯を取り出した瞬間。


「……龍心、今の人達誰?」


目の前には露骨に怒りを露わにして、俺を睨む明菜が立っていた。


「遅せぇーよ」


「誤魔化さないでちゃんと答えてよ!」


「お前が遅いから変な女に絡まれたんだよ」


「……ふぅん。浮気してたのかと思った」


そう言うと明菜は表情を緩め、「遅れてごめんね!!」と付け加えて、俺の手をギュッと握った。
< 341 / 478 >

この作品をシェア

pagetop