龍と虎に愛されて。

「美味しい?」
   

「あぁ。うまい」


いちいち感想を聞いて口元を緩ませちゃう。


ふふっ……。なんか、すごい幸せ!!


龍心の食べっぷりの良さに気持ちよさまで覚えていた時、あたし達の隣に若いカップルがやってきた。


そのカップルはあたし達の前にあるお弁当に視線を移して、コソコソと話し始めた。



「何、あの弁当。スゲーまずそう」


大きな茶色いサングラスを掛けた男が、口元を意地悪く持ち上げてこちらを見る。



「だよね。あんなお弁当持ってくるなんて恥ずかしい~!!た」


本人たちは小声で話しているつもりらしいけど、地獄耳のあたしには全部筒抜けで。


だけど、カップルの言葉は確かに正論。


味は普通だけど、見た目は悪い。


あたしは言い返すことも出来ず、ただただうつむくことしかできなかった。
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