龍と虎に愛されて。

小林は教室から出ると、そのまま他には目もくれずに生物室へ入った。


まだ授業が始まる前だからか、中には誰もおらず、少し薄暗い室内は妙に気味悪かった。


「ねぇ、何でこんなところに連れてきたの?」


「お前、朝からギャーギャーうるせぇんだよ」


「別にうるさくしてないじゃん……」


小林の正体を知っているあたしは、少し抑え気味にそう言った。


「うるさかったんだよ。早坂、早坂って。そんなにあいつがいいのかよ?」


何故か眉間に皺を寄せている小林。


でも、ボサボサのカツラを付けて伊達メガネをしている小林の迫力は昨晩よりも半減していた。


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