龍と虎に愛されて。

どうしてこの子が彼氏にパシられているところを見ると、無性に苛立つんだろう。


鼻の頭を真っ赤にして唇を振るわせるこの子を見ると、どうして手を差し伸べたくなるんだろう。


この感情が何か、自分でもよく分からない。



「悪い。言い過ぎた」


「いえ!!あたしが悪いんです……」


「もう20時過ぎてるし、帰ったほうがいいって」


「でも、買って持っていくって約束しちゃったんです……」


「買って持っていくって、彼氏の家に?エロ本を?」


「……はい」


「なんだそれ」


あの男は、龍心の言うとおり最低最悪の人間だ。


いや、その言葉だけじゃ足りないかもしれない。
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