龍と虎に愛されて。

女は男の腕に自分の腕を絡み合わせる。


男は嬉しそうにその女の顔を覗き込む。


二人の間に漂う甘い雰囲気に、口の中がカラカラに乾いて、頭に血が上っていく。


浮気か……?それとも、優華ちゃんのほうが遊びか?


体中が怒りでブルブルと震える。


腹の底からわき上がってくるような不快な感覚。


昨日……、優華ちゃんがどんな気持ちでいたか知ってんのか?


コンビニの前に長時間立っていたあの子の体は、氷のように冷え切っていた。


許せない。


あいつだけは、絶対に許せない……――。


俺は、グッと拳を握り締めて二人の元に歩みを進めた。
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