龍と虎に愛されて。
「ひとつ……聞いてもいい?」
「いいよ。何でも聞いて」
優華ちゃんの前髪から手を離すと、優華ちゃんは一度息を吐いた後、決意したようにこう切り出した。
「大虎君は……彼女とか……いるのかなぁって」
「俺?いないよ」
「そ、そうなんだ……。大虎君って女の子にモテそうなのに……」
「そんなにモテないよ」
「でも、うちの学校の女の子で……大虎君を狙ってる子ってたくさんいるんだよ」
「ん?でも、その子達どうして俺のこと知ってんの?」
「コンビニでバイトしてる男の子がカッコいいって、みんな噂してる」
「あぁ。そういうこと」
『杉崎が入ってから、女性客が増えたんだよ。この調子で頼むぞ!!』
店長の言葉がふと頭をよぎった。